道を切り開く為のビジネスのヒント No.33
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今回のゲストはお遍路の魅力をより多くの方に伝えたいと奔走する
いっぽ一歩堂 代表の佐々木さんです。
四国四県に点在する八十八カ所の弘法大師(空海)ゆかりの寺院を巡礼することを
四国お遍路といい、巡礼者はそれぞれの思いと共に1,200㎞の道を巡っていきます。
佐々木さんご自身も2006年の夏にお遍路を目指し、43日かけて歩き遍路で結願(四国
一周)経験をされています。
自ら体験した苦行を伴う歩き遍路を通じて、多くの人との出会い
まったく見ず知らずの人を見返りも
期待せずに助けあう「お接待」の文化
に触れたことで、自分の生きる道は「経営を通じて、人の役に立ちたい」と
の想いを新たにし、お遍路の魅力を伝えるビジネスを進められています。
何故、お遍路を目指したのか
お遍路というフィールドでどのように事業を開発されてきたのか
佐々木さんのこれまでの経緯を踏まえながらご紹介致します。
◆ お遍路を目指したきっかけ
「これまでの自分には軸がなかった」と語る佐々木さん、現在に至るまで紆余曲折の
道を歩んで来られました。
佐々木さんが若い頃描いていた夢は競走馬の「調教師」。乗馬に親しみ、競馬、馬業
界が好きだったことから、自然と「調教師」に成りたいと明確な想いがあったようで
すが、一歩踏み出すことが出来ないまま大学卒業後は、大手企業に就職されました。
しかしながら、想像していたやりがい、成長を感じる仕事はそこにはなく、3年会社を
勤めた後に退職し、捨てきれなかった夢
「調教師」への道を25歳から挑戦。
まずは「調教厩務員」 になるべく、北海道の牧場へ丁稚奉公し
馬業界へと進む道をシフトされます。
「調教厩務員」なるためには競馬学校への入学が必須。 競馬学校入学は超難関であり
受験資格は28歳未満と期限付き。残されたわずかな時間を必死に 励まれましたが
年齢の期限までに合格を掴み取ることが出来ずに、 あえなく夢を断念することとなってしまいます。
その後、前職で取引関係のあったプラスチック部品製造会社へ就職。その会社は佐々
木さんの主要担当先だったことから、社長とは互いを良く知り、信頼ある間柄であっ
た為、リーダー格として迎え入れられることとなります。
この会社で佐々木さんは、前職での経験を活かし、業績が傾いていた会社を立て直そ
うと手腕を発揮、入社後2年たった頃からその努力が実り、業績が好転し始めました。
失敗、成功を繰り返し体力、精神的にもつらい日々だったようですが、始めてリーダ
ーとしての仕事をこなし、人を使うという慣れないことや、部下を如何にやる気にさ
せるかという経験など、多くのことを学び、充実した毎日を過ごされました。
しかし、この頃からこれ以上の発展を求めない会社と佐々木さんの
成長したい欲求、何かを成し遂げたい
と常に願う仕事観とが乖離し始め、
入社後丸3年目たったころから次なる挑戦、起業を意識し退職することとなります。
そして、会社を辞めることを念頭に、これから先何をしようと将来を見つめ直す時間の中で
たまたまTVで紹介されていたお遍路に出会うのでした。
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◆ 今の自分に必要なことは「自分自身との対話」。
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TVでお遍路を知った後、色々と調べるうちに
これだ!と感じられたようです。
お遍路で四国を一周するには、40日~50日は掛る。旅の中で探している答えが見つか
る確信はないが、自分自身と対話するには十分であること。
そして、もう一つお遍路へ行く理由は友人の供養。
退職する年に共に会社を立て直した戦友であり、公私ともに仲が良かった工場長が、
心臓発作により突如他界されるという非常に悲しい出来事が起こります。
佐々木さんは、会社を辞めて自分が別に道を歩むことによって、その後の仕事の負担
を負う工場長に重荷を与えたことが、病を悪化させた原因ではないかとも悔み、お遍
路の旅が亡き友である工場長の供養になればと思い、お遍路へと旅立たれるのでした。
◆ お遍路ビジネスへの挑戦!
お遍路から戻った後、しばらく実家の会社の手伝いをしながら、起業の準備を進めら
れます。自身の人生を振り返り、色々と挑戦は続けたものの、これまで軸がなかった
と感じていたことから、これからの仕事は
長く続けられること、廃れない業界で仕事
をしようと考えたところ、自身が経験したお遍路の魅力をより多くの方に知ってもら
いたいと、お遍路で飯を食っていくことを決意されました。
最初にスタートした仕事はお遍路に向かう人が必要とするお遍路用品を扱う物販。
お遍路の旅で出会った多くの方から協力を受け、仕入先なども紹介を受けて開拓し、
ネット通販の事業をスタート、ただ一般に流通している他店と同じ商品を扱っている
だけでは、競合との価格競争や顧客獲得に限界を感じ、
自社でしか買えない商品を自ら開発しようと
自身がお遍路の旅で実体験したことや、お客様へのヒアリング、要望の収集を重ね
新しい製品の開発も手掛けていきます。
・開発例の一部をご紹介
スポーツメーカーと共同開発、軽量、高密度速乾素材、UV加工などを施した機能性白衣
通気性が良く、笠と接する頭部の痛みを軽減するお悩み解決品(特許出願中)
佐々木さんの会社は工場を持たないファブレス企業ですが、偶然出会った製造会
社の創業者がお遍路を支持していたなど、数奇な巡り合いが、佐々木さんの味方とな
り、商品開発を成功へと導いていきます。
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◆ 集客は多面的に、小さな積み重ねを続ける
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事業を軌道に乗せるまで、如何にお客を集めるということが課題ですが、佐々木さん
は広告に頼ることなく、お遍路の魅力をより多くの方に伝えたいとの想いを行動に変
えて行きます。
WEBマーケティングの基本であるSEO、SEM、サイト上での情報発信はもちろんですが、
主体的にはお遍路初心者の方向けの勉強会や、実際に少人数で歩き遍路を体験出来
るお遍路セミナーの開催、世界遺産にも登録されている東寺の境内で
毎月21日に行われる「弘法市」に出店し、お遍路コミュニティー運営やお遍路の写真展を
開催したりと実に様々な活動を通じて、お遍路の輪を広げ、多面的なアプローチから
集客を行っておられます。
競合との消耗戦を強いる
広告の戦いを回避するという経営者の視点に加えて、自身が
体験した歩き遍路の素晴らしさを、より多くの方に知ってもらうにはどうすれば良い
かということをお客様の視点から考え、より伝わる方法、伝わる場を増やして実践さ
れています。
「弘法市」に出店する店舗
お遍路セミナー
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◆ お客の声から生まれた商品、新しいサービス
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物販でここでしか買えない商品を作るため、自ら商品開発に乗り出した佐々木さんで
すが、自身がニーズを感じていることは、
お客様の要望の片鱗に過ぎないと考え、とにかく
多くの意見を聞こうとお客様や公認先達(四国八十八ヶ所霊場すべてを4回以上巡
拝しているプロのガイド)に色々と意見を求められているそうです。
こうして売れる商品を作り、お客様の要望の声によって生まれた「代理参拝」などの
新しいサービスを生みだしてきました。
※代理参拝とは、諸事情により巡礼出来ない方々のお気持ちを十分に汲み、本人に代
わって巡礼し、その願い事を奉納するサービスです。
◆ 今後のビジョン
お遍路人口を100万人に増やしたい
お遍路人口は定かではありませんが、年間で30万人程度とされ、近年では20万人辺り
まで減少してきているそうです。
減少の理由としては、観光目的としたお遍路ツアーが一巡されてきたことや、元々お
遍路はリピーターさんが多く、その主要な層が高齢となったことを受け、減少に歯止
めが掛らない状態になってきているそうです。
そうした状況を察し、佐々木さんはあらゆるアプローチで、お遍路の魅力を伝えよう
と、更に新しい事業を開発。お遍路の経験によって人間力を
高めることを目的とする新入社員、幹部社員を対象とする研修事業をリリース。
こちらのサービスも見事お客の心を捉え、既にリピーターが続出。競争の激しい研修サービ
スにおいて、大手企業から申し込みを獲得するなど、好調なスタートを切られています。
当初は「お遍路で食えるハズがない」と
多くの方から言われていましたが
なんとかビジネスとして
成り立たたせることが出来ました。
成り立たたせることが出来ました。
「好きな事を仕事にする」ということに
幸せを感じています。
〓〓編集後記〓〓
多くの方に助けられて成長するいっぽ一歩堂。
いっぽ一歩堂のお客様は、特にクチコミによる紹介が多いようですが、「お遍路の魅
力を伝える」、「満足度の高い商品やサービスの提供する」といういっぽ一歩堂さん
の一貫した活動が自然とファンを増やし、お遍路の文化である助け合いの心も加わっ
て、お客さんや協力者を獲得されています。
共感型のビジネスをひた走る佐々木さんですが、自分の行動を信頼、応援し、助けて
くれる協力者、たくさんのお客様がいる。だからこそ、自分は絶対にぶれてはならな
いと熱く語っておられたことがとても印象的でした。
◆ おまけ
・おすすめ書籍
生き方―人間として一番大切なこと
最も尊敬している経営者は稲盛 和夫 さん
その著書の中で最も自分に影響を与えた本がこの書籍ださそうです。
◆会社概要
会社名:いっぽ一歩堂
所在地:大阪府交野市私部7-48-5
創業:平成20年12月
webサイト:いっぽ一歩堂
事業内容:お遍路用品の販売、セミナー、イベント、研修サービス
◆関連リンク
歩きお遍路体験記
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◆blog版-道を切り開く為のビジネスのヒント-
http://biz-open.blogspot.com/
:発行人:宮下
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